数寄
あの子とは趣味が合う
あの子とは音楽のセンスも合う
生活習慣も合う
あの子のお母さんとも仲がいい
同じ高校で同じクラスで
同じ部活で同じ帰り道で
同じ理系で同じ大学目指してて
毎日同じ塾に通ってる
彼女と話してる時より
あの子と話してる時の方が楽しい
それでも僕は今の彼女のことが大好きだ
多分ね
死刑制度
死刑って名誉だよね
罪を償うために誰かが死なせてくれるんだから
事故で死ぬって
理不尽過ぎだよね
死刑囚もある適度飼ってさ
死刑ですよーって言わないでさ
模範囚だねみたいに期待させてさ
ご飯の時間に
ご飯持ってくと見せかけて
突然銃でばんってころしてさ
遺族に実は死刑でしたー
ってやる制度作ろうよ
すごいいいと思うんだけど
だめかな
8月19日
全てが嘘だったかのように消えてしまう
私が今まで生きてきたのは
私の記憶は全部偽りだったんだろうか
その答えを聞くのはまだ早かったかな
私は別にこのままでもよかったんだよ
君といる時間が何より楽しかったさ
でも、私はこの世にいちゃいけないんだろう
来ちゃったのが、おかしいんだっけか
まあ、悪かったと思ってるよ
私には何が何だか分からなかったけどね
それでも
楽しい時間だけは忘れたくないからさ
君は私のことを忘れないでいてくれよ
大人になったら
いつか私に会いに来るんだ
約束だぞ
君の言葉はどこか寂しかった
暖かい言葉ほどなぜだかすごく
冷たかった
夏の夜は少し肌寒い
夏の月はぼやけてみえる
なんだか光が弱い気がする
どこか遠くの記憶な気がする
いつかは
みんな消えてしまうんだから
いつ消えても
別に違ってはないよ
そんな悲しい顔しないでよ
私は元気です
また会える日まで、ね。
6月7日
歪んでいく空を見上げて君は言う
赤くはなるけど緑にはならないよ
緑の空に浮かぶ黄色い雲を見上げて僕は言った
それは幽霊の仕業なのかもね
現に横切ったバイクを見下ろすベランダの隅に
最後の桜が枯れている
カレルカレル
囁く森はだんだんと赤くなっていく
喚く森はだんだんと青くなっていく
明るいうちにコンビニでも行こうか
そういえば靴を切らしてたんだっけ
紫色の太陽に見守れながら歩く2人はまるで
鬼のように
すごく苦しかった
息が出来ない
肺が潰れる音がした
口から滴る青い液体を手で押えて
あ、そいえば卵の消費期限明日までだからね
あ、でも君の消費期限は今日までだけどね
君といた夏は忘れられないよ
ベランダの雪だるまはとっくに溶けて
窓に滴る水は熱い夜を冷やしてくれた
君を置いて
私だけの世界は回っていく
ねえなんか冷房つかないんだけど
リモコンの電池きれてるんじゃね
あ、ほんとだついた
よかった
本当によかった
5月
いっそこのまま消えてしまえよ
何も残さなくてもいい
明るい未来なんてないから
本当の幸せなんてないから
時間だけが過ぎて
何も変化なんてないから
偽りの幸せのままでいいから
今のままでいいから
この幸せが崩れるくらいなら
いっそのこと死んでやる
消えたい
居なくなりたい
明日より昨日のが幸せだった
未来より過去のが幸せだった
明日が来なくてもいいように
未来が来なくてもいいから
今日、消えれば
明日は
また