捧げ
愛って
精神損傷の保険みたいなものだよ
小学五年生のとき仲良かった子に教わった
「私が彼を愛せば
彼は私を愛してくれる
私が失敗しても
彼が庇ってくれる
私が辛くても
彼が慰めてくれる
私が悪いことしても
彼のせいにできる
私が浮気しても
彼は私をもっと愛してくれる」
そんな彼女の心は
中学三年生の頃になくなってしまった
体も土の中に戻ってしまった
生命保険に入れておけばよかった
ヨモスエ
金曜の夜って別に
神聖なものでも何でもなく
どちらかと言えば社会人向けの
そんなそういう日みたいな
学生はそもそも土曜日学校あるし
夜更かしするものもないかなみたいな
少し浮かれて
2時くらいまではみたいな
そんな具合に
イヤホン越しの
顔も知らないどこかの誰かと
気持ち悪いくらい一緒にならないといけない
吐きそうなくらい熱い夜もなかったり
キャス配信すれば
中身のないメンヘラに絡まれ
ブログをかけば
エアプと机上に叩かれ
リスキルすれば
炎上してってこれ
いつの話
もう忘れたからいいんだけど
忘れたって言葉
思い出せないことじゃなくて
気にならなくなるってことなんだなって
この年になって初めて気づいたよ
別にどうでもいいんだけど
Skypeも廃れ
discordも新規に埋まり
ボイチャ自体窮屈で繋ぐのもだるいし
そもそもこのゲーム飽きてきたし
軟体動物が陸乗っ取ってインク飛ばし合うなんて
もう聞き飽きたし
なんも珍しくねえよ
斧振り回して手に入れた木材で
突然目の前に壁を建築する
それそのままのTPSも
野良で知らん人と繋がった方が
まだマシってくらい
いつメンにも飽きる自分が
いたりいなかったりいたり
社会人がどうのこうのってことじゃなくて
なんか色が無い
それが受験生なんだろうけど
そもそも顔も知らねえ奴と
彼女以上に話すって気持ち悪いだろ
彼女なんていないけど
アニメに影響されて
イカであたしが勝ったら付き合えなんて
4対4のゲームで言うことじゃねえだろ
ほんとバカばっかで
色気もねえよ
こういう半分詐欺みたいな
半分はただの被害妄想
某コンパスみたいなの慣れたし
あれはかなり酷かったけど
あいつはスマホ取り上げられたぽいから
お見舞いにたまに会いに行ってやってるけど
相変わらずのメンヘラ臭が
部屋中からすごい
病室って意外と何しても許されんのかな
窓ガラスに何貼ってんだよ
新手のリベンジポルノみたいな
コールされたナースもびっくり
早く治るといいですねそのメンヘラ
(とその病気)
病気ってメンヘラみたいな無限ループとか
てかあれ絶対仮病だよな
やっぱめんどくさい本当に
そもそも何がスペインだよな
何がスペインだよな
何が、スペインだよな
どこ行ったって変わんねえなら
ずっと傍にいろよ
なんて気持ち悪いこといって
キュンとかしてる女のが
気持ち悪いから
気持ち悪いよそこのお前
VISA取れないから
お前とは結婚できません
一味唐辛子の具現化みたいな
そんな君の眼差しを隣で感じる
感じないけど
スペインに帰れよ
ベースはもう弾いてないから
大学いって入りたいサークルもないし
最低保証軽音みたいな
メジャー期待してサイン求めてくるあたり
気持ち悪さが七味唐辛子
なんの話だよ
春に恒例で卒業生ライブみたいなのあるらしいけど
出るわけもなく
出れるわけもなく
出せる顔もねえよ
左腕の傷の前に
左腿裏の傷とか
髪に隠れた後頭部の傷とかに
気づいてからメンヘラかどうか判断しろよ
車に自転車で吹っ飛ばされてから
自転車乗れなくなったって話しなかったっけ
目と口の間って
鼻じゃね
繋ぎが雑になってきた三連休
開けたら2連模試ってこれ
3歩進んで2歩下がる
来週フェスだよな
トリックオアトリートって
可愛らしいイカが憎たらしいほど
気持ち悪いくらい愛らしいよ
1時間2本のバス
そんな田舎でもなく
でも田舎みたいな
魅力もないそんな街の中に
取り残された
フラフラよろめく足取り
先は
緑の信号機
今日は娘の結婚式
消えた夏の夜
花火の後の静けさ
耳が慣れない
君の声が幾分か小さく聞こえる
いつも見る制服の君と
今日だけ特別な浴衣の君は
雰囲気から違う気がした
花火を見た公園から駅まで歩いた
付き合ってもない君の隣で
新しい何かが芽生えそうな
曖昧で落ち着かないこの感じ
早く1歩出たいけど少しでも大切にしたいこの1分1秒
花火の前に食べたかき氷の甘ったるい感じが
なんか口の中で再発してる
駅に着く頃には
乾いた喉に通すお茶も妙にぬるい
ぬるいというか温かかったのが冷めたみたいな
でも何故だか気分は悪くない
繋がらない会話のキャッチボールに
四球押し出し満塁
ただ幸せな時間だけが流れていた
妙な緊張感と胸の高鳴り
落ち着かない鼓動と履き慣れない新しい靴
電車の揺れが何だか大きく感じた
気づけば君の最寄り駅
ありがちなさよならを告げた
徐にLINEを開いても送るタイミングとかわからないし
馬鹿みたいにTwitterを読み流したりして
自分も家に帰る
おやすみを言う関係でもないし
また明日話せばいっか程度の
そんな気持ちで枕に顔を埋めた
でも明日は来なかった
寝惚けた目に映る
既読のつかないLINEに
信じられないテレビの文字
強制わいせつ致死
心から闇が広がるような
苦しくて痛くて辛かった
昨日の自分を殺してしまいたい
何もかも分からなくなってしまった
六畳間物語 #1
図書室の奥の空き教室
図書準備室みたいな
古い本とダンボールが積み重なるその奥に
何故か畳が敷いてある
居眠りの罰として掃除をしていたが
なかなかいい場所を見つけた
昼休みはここで毎日のんびりしようと…
『柳瀬くんだよね、ここで何してるの?』
クラスの女子が突然話しかけてきた
名前も知らないクソビッチがなんで俺なんかに
『見たらわかるだろ、パン齧ってんだよ』
『ここ汚くない?埃舞ってるけど…』
『お前が来たからだろ、何の用だよ』
『柳瀬くんがこの空き教室入ってるところ見ちゃってさ、何してるのかなーって気になって』
『あっそ、分かったならもう帰れ、お前みたいなやつが来る場所じゃない』
『お前みたいなやつって、失礼しちゃうなあ…ね、私も明日からここでお昼食べていい?』
『は?ふざけんなよ俺が見つけた場所だぞ』
『学校はみんなのものでしょー、ましてや公立なんだから国のものだよ』
『ちっ、仕方ねえな…』
『ありがと柳瀬くん! あ、私は佐倉朱莉、よろしくね!』
『ああ。』
『ほら早く食べないと授業始まるよ』
『お前が邪魔してんだろ』
『あははは、ごめんごめん』
『まったく、ふざけやがって…』
2人だけの何かが始まった
最期の一歩
恋じゃなくて愛なんて言い訳
もう聞き飽きたし
嘘じゃないってより
合理化することしか出来ない愚かさ
君の嘘と僕の妬みが
ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる
回り回って転生の輪廻
天井にくくりつけたロープの輪っかに手をかけた
ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる
止まらない感情に終止符を打つ
夢と希望が背中を押す
椅子の倒れる音と
ギシギシなるロープの音が
見事なセッションを部屋中に奏でる
吊られた自分を見届けながら天へと昇り
天使の輪っかに映る君の姿は
知らない場所で知らない男と
何も知らずにこんばんは
知らない繋がりから漏れる荒息は
初恋の音のアウトロへ
はじまりの物語
初めて朱莉に会ったのは幼稚園の頃だった
朱莉は俺にずっと着いてきて
妹みたいな存在だった
よく俺の家に来ては
一緒にぷよぷよをして遊んでいた
朱莉は物語の序盤出てくる
骸骨のキャラクターが怖くて
それ以上進めなかったっけ
そして同じ小学校に入学した
クラスも同じだった
一緒の幼稚園の人も多かったけど
やっぱり新しい場所には緊張した
初めのうちはずっと朱莉と一緒にいたけど
だんだん男女を意識してきたのか
お互い同性の友達を作って会う機会も減った
2年、3年とクラス替えでクラスも離れ
思い出は泡のように消えていった気がした
それでも4年になった時
同じクラスになれた俺は朱莉に話しかけた
でも朱莉はすっかり変わった様子で
簡単な挨拶を交わしただけで終わってしまった
俺も噂されるのが怖くそれ以上は何も出来なかった
でも事件は起きた
同じ年のクリスマス前
突然朱莉から電話がかかってきた
普段マイペースな朱莉とは裏腹に
凄く焦った様子で事情を伝えてきた
父親の転勤で年始すぐにはスペインに引っ越す
でももう一度あなたに会いたい
電話を切る音に身を任せて
俺は何も言えなかった
携帯を閉じたあとも何も考えられなかった
朱莉がスペインに行ってしまうのは理解出来たが
どうして俺に会いたいのか
その日は一晩中寝れなかった
クリスマス当日
約束した時間
約束した場所で朱莉は待っていた
妙にお洒落をしていて
普段学校で見る朱莉とは違うように感じた
これ以上先が読みたいのなら
年齢確認が必要です
ご精読ありがとうございました
灰被り猫
あ、また嘘ついた
ほら早く行くよ?
いいじゃんちょっとくらい
あれ、眠いの?
ごめんねわざわざこんなところまで
愛してるよ
記憶
いつかは
消えてなくなる
桜のように
散って散って散って散って
逃げ続ける僕はまだスタートラインにも立てない